大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成5年(ネ)3166号 判決

主文

一、本件控訴を棄却する。

二、控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一、控訴の趣旨

1. 原判決を取り消す。

2. 被控訴人の請求を棄却する。

二、事案の概要

次のとおり補正するほかは、原判決の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

1. 二枚目表五行目の「前代表者」を削り、同八行目の「得就」を「得雄」に改め、同裏五行目の「甲1」の次に、「、6」を加え、同八行目の「送付し」を「もって、遺留分減殺請求の意思表示をし」に改め、同九行目の「到達した」の次に「(甲3の1、2)」を加え、同一〇行目冒頭から同末行末尾までを削る。

2. 三枚目表三行目の「共有持分移転登記」の次に「手続」を、同六行目及び同裏四行目の各「残余土地」の前に「本件」を、同裏二行目の「その結果、」の次に「前記3項の」をそれぞれ加え、同五行目の「有することとなった」を「有することが確定した」に改める。

3. 四枚目表七行目の「請求について」の次に「の」を加え、同裏一〇行目の「住職名義」を「住職であった得就名義」に、同一一行目の「被告名義に」を「真正な登記名義に」に、五枚目表三行目の「本件土地以外には」を「得就には右贈与当時、本件土地以外に」に、それぞれ改め、同六行目冒頭から同八行目末尾までを削る。

4. 六枚目表二行目と三行目との間に次のとおり加える。

「(3) 遺留分減殺請求権の行使によって、目的物上の権利が当然に遺留分権利者に帰属するものではなく、受贈者に返還義務を負わせるにすぎないのであるから、本件における遺留分減殺請求権の行使による具体的な権利の返還請求権は、減殺請求権の行使のあった昭和五〇年一一月一八日から一〇年の経過により消滅している。」

5. 六枚目表七行目冒頭から同末行末尾までを次のとおり改める。

「遺留分減殺請求権の行使があっても、それに基づく具体的な返還請求権は、相続回復の期間を定める相続開始後二〇年以内に行使されなければ消滅すると解すべきであるから、被控訴人の控訴人に対する本訴請求土地の共有持分移転登記請求権は、昭和四三年一月七日の相続開始から二〇年を経過したことにより消滅した。」

三、当裁判所の判断

次のとおり補正するほか、原判決の「第三 当裁判所の判断」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

1. 六枚目裏二行目の「9ないし15」を「9ないし11、12ないし14の各1、2、15」に、同四行目の「明治の中期土地台帳が編成されるや」を「本件土地の土地台帳には当初」に改め、同行の「得永」の前に「井上」を、同五行目の「八月一四日」の次に「同人の」を加え、七枚目表一行目の「甲7」を「甲8」に、同一、二行目の括弧の中を「明治一二年調、武庫郡寺院明細帳」に改め、同裏六行目の「贈与した」の次の「こ」と、同九行目冒頭から八枚目表一行目末尾までとを削る。

2. 八枚目表二枚目の「四」を「三」に改め、同末行末尾の次に改行の上、次のとおり加える。

「四 争点2(一)(3)について

控訴人の主張は遺留分減殺請求権行使の効果を債権的に捉えることを前提とするものであるが、遺留分減殺請求権は前示のとおり形成権であり、その行使により目的物の所有権が当然に遺留分権利者に移転するものであるから、控訴人の右主張は失当である。」

3. 八枚目裏三行目及び同五行目の各「復帰」を「帰属」に改め、同一〇行目末尾の次に「また、遺留分減殺請求権行使に基づく具体的な返還請求権は、相続回復の期間を定める相続開始後二〇年以内に行使されなければ消滅するとの控訴人の主張も、遺留分減殺請求権行使の効果を債権的に捉えるものであって、失当である。」を加える。

四、結論

よって、原判決は相当で、本件控訴は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例